つなげ“希”動力-伊東勉のストラグル日記。

17年9月移籍、社会活動中心の記事を記していきます。

嫌がらせ至上主義の台頭、報道・活動の萎縮とその反攻へ…東京都知事選2024。いくつか項目設けて雑感を記していきます。

 7月7日に投開票が行われた東京都知事選挙。私が推薦した蓮舫氏は残念ながら当選に及ばず。現職の小池百合子氏が当選という結果となりました。主な候補者の得票は以下の通りです。

291万8015票 小池百合子

165万8363票 石丸 伸二

128万3262票 蓮舫

 26万7699票 田母神俊雄

以下52名省略。

項目を設けていくつか感想を述べてまいります

① 蓮舫候補について-足りなかったのは純粋に力と時間。
 上記図表に記した通り、蓮舫候補は約128万票の得票を得ましたが当選には届きませんでした。原因なるものが様々報道。特に共産党が選挙に関わったことそのものを罪悪視・戦犯視する声もあり、そこから「共産党はだまって(ステルス)票とカネと人足だけ差し出せ」言う人がいますが、それ言ったら「この10年進めた共闘は何だったんでしょうね」としか言い様がありません。正直食傷気味です。それは後刻述べていくこととします。

 それを抜きとして、これまで東京都知事選挙に挑んできた革新・市民サイドによる候補は、大体選挙の半年から1年前から予定候補発表→その予定候補を中心にチームを組んで都政へのキャンペーンをはってきました。ところが今回は…東京都政にどう向き合うかまでは活動はされていましたが、上記に記したような大体的なキャンペーンはできていなかった。蓮舫氏を東京都知事選の候補として発表したのが1ヶ月半ぐらい前の話。その後も労働組合・連合が小池支持に回り、また立憲民主党も腰が定まるには時間を要したこともあり、1200万人規模の東京都に広げる時間と力がこれまでのように確保できなかったように思えました。むしろ1ヶ月半の活動でこれまで数回の野党・市民共闘候補が得てきたぐらいの得票持ってきたことこそ良しと考えるものです。

② 得票率8割-ヘイト思考・事大主義者のさらなる増加

 今回の選挙戦で注目を浴びたのは元安芸高田市長の石丸伸二。得票が約166万票と大きい支持を受けましたが、石丸伸二※の活動に着目した人は「瞬時に見せどころを作るのはうまいが月並みに必要な議論をしようとするとボロが見える」という評価が。7日夜のTBSラジオで武田砂鉄、荻上チキ両氏との対談がありましたが、上記に記した特徴がより悪く出て、最後は砂鉄氏にマウントを取ろうとしましたが瞬時に跳ね返されて以降はすっかりふてくされてしまった様子がありました。※もう一人石丸姓の候補者がいます

 2000年代の後半、大阪維新の成立以降「敵対勢力をやり込める」ことばかりがもてはやされるようになりましたが、実際の社会というのは様々調整していくという部分もあるわけで、対立線があるときは激しい対立もしますが普通はそればっかりではやっていけない。共産党の議員だって考え方が根本的に違うから争うときは激しいけども、基本的にはそういう月並みな態度を取ることの方が多いわけです。

 今回56人が立候補しましたが、圧倒的多数がヘイト思考を認める、権威主義には跪く、他者を必要以上に叩きのめすスパイト思考を持った候補者ばかり。得票数の約8割がそういう候補者に投じられていたことと併せて、今の社会がそういう状態を当たり前として是とする方向でいることには危機感を覚えるものです。

③ 安倍政権以降の堕落が更なる堕落を生む-報道について

 安倍政権が成立して以降、マスコミ対策-ここでは上品に記しています-が徹底され、自分の思い通りになるような体制、あるいは自分に都合の悪いことを言う人を目立つ箇所から排除する体制が強化されました。それは放送局のへの締め付けから放送局首脳を抱き込んで現場への圧力、数年前には都合の悪い出演者の排除というものもなされました。こういう経過を経て、選挙に関する報道がすっかり大人しくなってしまいました。

 しかしこれを是する人は何をいうか。「公選法の事情もあるから選挙戦の期間中は報道ができないんですよ」とか「放送局の編集権の都合じゃないですか」などと述べて、放送局のサボタージュを正当化する。後の社会活動の部分でもそうですが、とにかく選挙に関して語らせない・意識させないというものが徹底されて、多くの人が選挙を実感できない状態というのが作られてきたことを憂慮するものです。

 一方で、それでも居続ける「権力にとって都合の悪い存在の排除」を図る行為も継続。人間関係で言ういじめ行為ですか。「どうしたらうまく敵をやり込めるか」という思考が入り込み、そういう意志が利いてしまう。今回まずいなと思ったのがTBSのテレビ局の方。アッコにおまかせという老舗番組がありますが、投票日当日の番組で「投票は入場投票券がなければマイナンバーカードがなければできない」「投票の記名に関してはマスコミが出している表記通りにしなければならない(蓮舫氏なら漢字でなければダメ)」などの誤報を連発。忘れ去られた頃に形だけの訂正だけは入れたようですが、投票日の行動に影響を与える報道をしたことに関しては必要な検証は求められるんじゃないんでしょうか。付記しておきますが、その検証というのは矢面に立ったアナウンサーを吊るし上げるのではなく、実際そういう報道をさせたのは誰なのか、そしてそこに圧力があったのであればそれはどこからかというのを示す方向でなされればと考えております。

④ SNSなど候補者・政党の情報発信-「必要なことは覚える」で。

 まず、今回の選挙戦ほど様々な政治活動に対して「それは違反これも違反」とやられたことはありませんでした。公選法の適用には制限あり。それが何で設けられているかといえば「政治活動と選挙活動というのは類似的な行為が多くあること」そして「公選法の規定をもって言論の自由、政治活動の自由を押しとどめてはならない」と傍目には抑制的に政治行動に関しては比較抑制的に(反権力勢力には意図的に)適用されてきました。自民党が敵対勢力を押さえつけるために次々制限をかけてきた公選法の中で、できることを模索して市民・有権者アウトリーチをかけてきたのがこれまでの市民派側の野党の行動でした。

 今回のように何でもかんでも選挙違反と押さえつける行為が違法になってしまえば、社会の中で政治を語る行為ができなくなってしまう(それが故に20数年前の自民党はそれ以上の改悪を断念した)。そうなれば発信力を支配できる勢力しか意志を政治的に通せなくなってしまう。このことに関しては様々整理整頓した上で必要な声明を出していくことが必要じゃないでしょうか。

 ここ20年のSNSの発達によって様々手法-短時間の動画サイトとかそういう発展もなされてきました。石丸伸二はそれがうまくて票を伸ばしたのでは、という分析もなされています。石丸伸二云々はともかくとして、情報を受け取る手段がそういう状況にあるのであれば、その特徴をつかんで使いかたを追及していくということ、そのものは必要と思われます。現状ではそこに力を注ぐリソースが足りません。共産党が党大会で党員などの組織拡大が薄くて近隣の活動に支障をきたすいる旨の反省をしましたが、それは様々な左派的活動に関しても言えることのようです。欠点が分かればそれを伸ばしていけばいいんじゃないんでしょうか。

⑤ 大基本。根気強く諦めないで存在し続ける。

 今の社会状況を振り返るとしたら…1980年代あたりから物事考えていく必要があります。

 1960年代半ばから共産党社会党を中心とした革新勢力によって「革新自治体」が作られました。自民党政治の悪影響を完全に脱却しきれず、やがて自民党民社党などを抱き込んで、社会党共産党から引き離し、革新自治体が壊され始めたのが1980年代。時期を同じくして革新的思考を壊していく政策なり社会づくりがなされていきました。1990年代あたりに強力な右翼的思想が持ち込まれ、2000年代半ばには現在の大阪維新につながる勢力が台頭。その維新が台頭以降、下劣・クソ行為上等の政治勢力が台頭-要は40年かけて社会はここまで壊されてきた。

 かなり分厚く政治から社会から様々な階層にわたって社会が崩されてきた。

 最初は革新的な施策だけが崩されてきたと思いきや、今では日本国憲法程度の社会的規範さえ壊されようとしている。

 そこで保障されるべき人権思想なんざクソ食らえと。 

 そこによって救われる人間なんていなくなればいいと。

 こういう思考を持つ候補が選挙の8割支持するという状況がいま。

 それを覆すには一定の時間が必要になるんでしょうね。物理的に。

 できることならば、その革新的、日本国憲法的な施策を覚えてる人がいるうちに忘れないうちに再興しに行きたい。忘れたら再興は百年単位の時間を要するから。

 今回の政治戦ではSNS界隈でもリアルの界隈でも行動し続ける人を多く見ました。その行動自体を封じ込めたいと思って「選挙違反だ」呼ばわりする人もいましたが、そういう難癖を断ち切って行動に立ち上がった人たちに敬意を表し、自分もせめてその下支えができるように、と考えております。

「諦めないで歩いて行く」

 低脳人間で、「お前なんざさっさと死ね」語られる人間ですが、それだけはここに誓わせていただきます。

 長文お読みいただきありがとうございました。